こんにちは、静岡市駿河区の小澤歯科クリニックです。
今回は入れ歯の掃除と肺炎の関係についてです。
結論から言います!
入れ歯を持っている方は毎日お掃除するのが良いです!!
そりゃそうだろと思いますよね。
実は入れ歯を毎日清掃されていないと掃除している方に比べて肺炎になるリスクが65歳以上だと1.3倍、75歳以上だと1.58倍高くなるデータがあります。
入れ歯は毎日清掃していただいて洗浄剤も適宜使ってもらう方が健康に良いようです。
ただ、入れ歯を使っている方はなんとなくわかっているかもしれませんが入れ歯にも歯石はついていきます。
これは普段のお手入れだけではきれいにするのが非常に難しいです。
歯科医院では義歯洗浄剤と超音波洗浄機を使い、ご家庭では取れない汚れをきれいにしています。
お口の中のお掃除だけではなく入れ歯の定期的な清掃も非常に大事ですので歯科医院でぜひきれいにしてもらってください。
毎日ご自身でお掃除するセルフケアと歯科医院で義歯の洗浄を行うプロケアこの二つが大事になってきます。
ここから先は少し詳しめに書いていきますので興味のある方は最後まで読んでみて下さい。
誤嚥性肺炎を皆さんご存じでしょうか。
誤嚥性肺炎とは、嚥下機能障害のため唾液や食べ物、あるいは胃液などと一緒に細菌を気道に誤って吸引することにより発症します。
寝たきりの方や脳卒中やパーキンソン症候群などのように嚥下機能の低下がみられる疾患などに関連しておきます。
誤嚥とは口から食道に入るものが誤って肺の方に入ってしまうことをいいます。
また、誤嚥は嚥下機能の低下に伴い自分自身の唾液ですらむせてしまい起こりうるものです。
寝たきりや認知症の方はご自身の口の中がきれいに清掃できず、口の中の菌が食事をしていなくても唾液に含まれて肺のほうに運ばれ発熱してしまうこともあります。
こういった方やこうなる前の予防として、訪問診療などでよく言われている口腔ケアが重要になってきます。
すいません、前置きがかなり長くなってしまいました。
そんな肺炎ですが、東北大学の研究により入れ歯のお掃除を毎日する方としない方で発生率に違いが出るという研究発表があります。
65歳以上の地域在住高齢者約7万人を対象に、入れ歯の清掃頻度が少ないことが過去1年間の肺炎の発症と関連するのかを明らかにしました。その結果、入れ歯を毎日は清掃しない人において、過去1年間の肺炎発症のリスクが1.30倍、75歳以上の人に限ると1.58倍高いということが明らかとなりました。入れ歯の清掃を毎日行うことによって、地域在住の高齢者においても肺炎の発症を予防できる可能性が示唆されました。要介護状態にない人でも、入れ歯を使っている人は、手入れを毎日行うことが肺炎の予防につながる可能性があります。また定期的に歯科医院で、入れ歯の状態のチェックや、家庭でとれない歯石などの入れ歯の汚れを除去してもらうことも大切でしょう。
Kusama T, *Aida J, Yamamoto T, Kondo K, Osaka K: Infrequent Denture Cleaning Increased the Risk of Pneumonia among Communitydwelling Older Adults: A Population-based Cross-sectional Study. Sci Rep 2019, 9(1):13734.
この発表は訪問診療で普段散々口腔ケアが大事ですと口を酸っぱく言っていた私自身が非常に驚きました。
この研究で対象にされていた方は寝たきりの方ではなく歯科医院に自分で歩いて来られるような元気な方です。
そんな元気な方でも入れ歯のお掃除を毎日しているかしていないかで1.3倍、1.58倍も肺炎になるというのはむしろ歯科医師にとって大きな驚きを与えた研究かもしれません。
体の元気な方でも要介護の方でも入れ歯の清掃状態は非常に体の健康と密接にかかわってきています。
定期的なメンテナンスはフレイルの予防にもつながります。
フレイルについてはまたブログでも伝えていこうと思います。
ぜひ歯科医院へ足を運んで口の中から体を元気に保っていきましょう!